[談_with]

白川洋平×友添成隆

イメージ的には対照的な業界であるが、実際にはどうなのか。

単純にアナログとデジタルとに2分化できるものなのか。

「IT」と「自然との共存」に共通点があるのか。


白川氏:そもそもオーガニックって何なんだと。

私達もそうだったんですが、一般的に“化学肥料や添加物を使わない・無農薬”という商品基準だと思っている方が多いと思います。

しかし有機農業の生産者に言わせると、オーガニックは人生哲学。

目先の利益や物質的な豊かさだけでなく、精神的・社会的な豊かさを実践するライフスタイルだという事です。

戦後、土地が荒廃し田んぼもなくなり、その為に農薬や化学肥料を使用し大量生産を行い飢餓を救おうと始まったのが生産性の高い現在の慣行農法です。

しかしこれはショートスパンで見た場合に生産性が高いという意味なんです。

地球環境や、土地の豊かさを考えた時、20年30年先を見ればどちらが本当に生産性が高いのかがポイントなんですよ。

現状を犠牲にして生産性を高める、その代償が後で来るのが慣行農法の世界なんです。

一方、有機農法は、農薬を使わないから害虫が来る。

しかしそれを食べる益虫もいる、という生態系が出来上がっているんです。

本来の自然の生産性があれば、農薬や化学肥料なんて必要ないんですよね。

有機の世界は、共生や循環、或いは生命対応性という『自然の持つ本来の力を基に農業をやりましょう』というものなんです。

無農薬だから良いという商品基準だけじゃなく、目先の為に将来を台無しにするという短絡的な物の見方でもなく、『長期的に物事を考えて持続可能な農業を次の世代に繋げていく』という理念と信念があるんです。

友添:うんうん(うなずく友添)

白川氏:又、オーガニックの商品がなぜ高いのかと言うと、やはり農薬や科学肥料を使わないので生産性が悪いからなんですよね。

科学的・工学的な手段を使わないので人手がかかる。

そうするとコストは上がる。

更に流通においても、説明しながら接客をする必要があるので人件費がかかる。

故にオーガニックの商品は高いという訳なんです。

しかしそこにこだわるのは、日本で最大の汚染産業が何かと言ったら“農業”だからなんですよね。

日本で農業をしている山中の生産地と工業地帯と、どっちの水が汚染されているとかと言えば、生産地の方なんです。

近年は世間でも、添加物や農薬が環境にどんな影響を与えるかが注目されてきており、物質的な豊かさだけでなく、精神的・社会的な豊かさが求められている。

それこそがオーガニックやったんやと。

広辞苑で引くと、“有機”は『生命力のある様』、“無機”は『生命力がない様』なんですよ。

友添:生命力がない様ですか。

白川氏:つまり有機は生命という事なんです。

だから有機農業の第一世代の生産者の方達は「自分達は生命作業をしている」と言うんですよ。



白川氏:歴史から紐解いてみると、“オーガニック”或いは“有機”という動きはベトナム戦争から起こったんですよ。

大国・経済至上主義のアメリカと発展途上国のベトナムとの戦争があって、ベトナム戦争症候群じゃないですけれどもラブ&ピースが起こったじゃないですか。

“戦争よりも愛と平和”というヒッピー文化になって、オーガニックというムーブメントが起きたんですよ。

日本も同じようにアメリカとの日米安保闘争を通じて、学生運動から有機農業に入った人達が多いんですよ。

そういう風に見ていくと、“経済原理主義対人間原理主義”というか、何を豊かだと思うかという事なんですよね。

これをどうやって説明したらええんかなと考えて時に、『スターウォーズ』やと。

友添:『スターウォーズ』?(笑)

白川氏:ダースベイダー率いる帝国軍とルーク・スカイウォーカー率いる反乱軍の話で、ダースベイダーは機械に乗って戦ってますよね。

対してルーク・スカイウォーカーは動物に乗っていますよね。

ダースベイダーが機械的なものをまとっている一方、ルーク・スカイウォーカーはオーガニックコットンを着ている。

帝国軍は機械で攻撃し、反乱軍はフォース(気のエネルギー)で戦っている。

これは何かというと、“経済原理主義と人間原理主義”、つまり“お金と人間性”の話なんです。

今こういう世の中になり、“経済原理主義”に対して“心や生き方への豊かさ”に回帰していると思うんですよ。

“有機”という仕組みを商品基準だけではなく、ムーブメントとしての店を確立したいというのがナチュラルハウスのブランディングなんです。


白川氏:それを実現する為に生産者がいて、お客様がいて、ナチュラルハウスがその間にいる訳です。

ただ、そこでナチュラルハウスがいわゆる流通をやっているからダメなんです。

色々な考えや理念があるんだけれども、それが物になって陳列されると単なる“物”になってしまい、背景にある思いとかが伝わらないんですよ。

ナチュラルハウスが間にいるから、その価値を分かり合うコミュニケーションが出来ないんです。

だったらナチュラルハウスがそこを退こうと考えたんですよ。

お客様と生産者が直接双方向にコミュニケーションできる様に組織化していって・・・コラボレーションと(*)CRの世界ですよね。

そういう意味で、店は生産者にもお客様にも必要とされるリアルな店舗になるんやと。

(*)CR  企業などの事業体が地域社会の住民や公的機関に対して,相互理解や良好な関係をつくるために行う活動。

しかしそれだけではチャンスロスなんですよ。

わざわざナチュラルハウスに来ないと買えなかったり、物を置いてるだけでは深いコミュニケーションが取れなかったり・・・ そこでそういうネットワークの組織化を繋いでいくのはITだと思うんですよ。

ナチュラルハウスが有機の中のWindowsみたいになりたい。

組織化という所のナチュラルハウスクラブですよね。

そういうコミュニティーを作っていきたい。

とはいえ、こんな事は完全なドリームプランです。

友添:ナチュラルハウスがお客様と生産者の間を繋いでいくという事だったり、ITを通じてお客様と生産者が双方向にコミュニケーションができるというのはどういうイメージを持たれていますか?

白川氏:私たちのやっているのは価値観マーケティングなんですよ。

その価値観に従ってコミュニティーをどういう風に活性化させ、顧客が顧客を呼んでくるという仕組みを作るか。

それをナチュラルハウスからの情報発信としてどう提案していくのか。

それらをどう絡めていくのかという話しと、生産者の声をどういう風にタイムリーに繋げていくのか・・・一言でいうと、対顧客に対しては (*) CRM、対生産者に対してはWEBを通しての通販の仕組みだと思うんですよ。<それをどう広めていくのかという企画力の話しになるんですけどね。

 (*) CRM コンピューターとネットワークを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。

友添:最近では“生産者の見える化”がどんどん進んでいて、それをナチュラルハウスがしていくという事ですが、逆に生産者の立場での“お客様の見える化”というのはどうお考えですか?

白川氏:それについては、ITを使ってもっとアナログな事をやりたいんですよね。

ウェブサイトで、ホスピタリティーというかFace to Faceの人間らしいアナログな体温を感じる事は出来ないと思うんですよね。

こだわりをきっちりと出して・・・という所で止まってしまって・・・友添さん、どうしたらいいですかね?

友添:それだけ信念を持っていたらIT化は絶対に成功すると思う。

一番大事なのは今の思いを一つ一つ体系化していく事じゃないですか?

生産者側の思いは明確だと思うので、あとはお客様に理解をして頂ける事を、ナチュラルハウスとしてどうやっていくかという所が体系化出来ればいいだけだと思うんですよね。

せっかくオンリーワンの商品を持っているのですから、必ずやっていけるんじゃないかと思います。

その思いを重要度の高いものから仕組みにさえしていけば、WEBにするとか通販にするとか、それは後の話ですよ。

友添:やりはしますけれども、それは一緒になってやるものですよ。

私達だけでできる事ではなく、その思いとその中のノウハウをきちっとそちらで考えて頂いて、答えはこちら側にはないですから、それを引き出すのが私達の仕事であって、引き出した物をどう仕組みの中に入れていくのかという所です。

ナチュラルハウスの場合、一番重要なのはシステム化する事によって切り捨てる部分を作るのではなく、思いだとか理念という部分をきっり体系化していく事。

それを合理化するのはやはり時間がかかってしまうけれども、こういうビジネスをやろうっていう信念をもっているのだから、そこに力をかけてやっていくべきだと思います。

Natural House 自然食品・自然化粧品のナチュラルハウス

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